社会的要因、報酬体系、組織の構造とプロセス、医療の質とコスト、そして最終的には、健康やウェルビーイングへの影響を科学的に探究する学際的な研究分野である(Academy Health, 2000)。
わが国の医学・医療技術のレベルは、研究者らのたゆまぬ研鑽によって世界でも最高水準を誇っている。
しかし、それが必要とする人に確かに届けられているだろうか。
ヘルスサービスリサーチ分野では、医療(保健・看護・福祉を含む)サービスの質を、
ヘルスサービスリサーチは、欧米諸国においては、公衆衛生学の重要な一部として位置づけられ、主な公衆衛生大学院には開講されている。
しかし、わが国では、まだ緒についたばかりで、ヘルスサービスリサーチ分野が大学の研究室として存在するのは、当研究室が初めてである。
ヘルスサービスリサーチは、公衆衛生の現場、もしくは臨床の現場をフィールドとして行われ、公衆衛生活動や臨床の改善に貢献する。各個人においては、実践と研究のどちらに比重を置くかは様々であり、キャリアの中で比重の置き方が変わってくることも多いと考えられる。ヘルスサービスリサーチの研究者は、研究を遂行するだけでなく、実務や臨床の現場を見て、学ぶことに積極的であることが望ましい。反対に、例えば実務家、臨床家に関しても、ヘルスサービスリサーチの分野を知り、手法や成果を学ぶことで、実務や臨床の改善につながることが期待される。様々な立ち位置の人が連携することで、より良い実践活動と研究につながる。そのためにも、それぞれの立場を理解、尊重することが重要である。